4度目の正直

 今日は休みである。が、先約があった。
 お袋の乗る"真っ赤なマーチ号"のユーザー車検

 かれこれ知人の車や自分ので3回やったので、もう流れは分かっている。ただ、今回の車検では「今日こそは…」と意気込んでいたことが1点だけあった。私的にはもう車検ではなく「挑戦」だった。
 
 それは「光軸調整」だった。
 1回目も2回目も、更に愛車である3回目も「光軸」で×だったのだ。よって、すんなり1回で終わった例がない。とある「プロ」に愚痴ったところ、「ユーザーの場合は、だいたい光軸で落とされるから、先に調整して行きな。また並ぶと時間の無駄だから、1500円くらいの出費は覚悟したほうが良いね」という事だった。
 なので、今回は先にディーラーで整備してもらい、そのときに「光軸ちゃんと見てもらっといて」と念を押しといた。

 で、本日。決戦のときである。
 第3ラウンドで予約してたので、ちょっと早めにスタンバイ。前には若いアンちゃんでセル塩君が並んでいる。
 中に入り、待機線で待つ。前でセル塩君がスピードチェックやブレーキチェックを難なくクリア。お、次はライトだ。と思ったら、彼は車から出て突っ立っていた。
 右 「×」  ザマミロ!と思った瞬間、「●」になりやがった。左も同じだった。

 動揺してる間に、自分の番がきた。ブレーキ系は「●」いよいよライトだ。
余裕シャクシャクで乗ってた私は掲示板の結果に驚く 右 「×」 左 「×」 
「・・・・」 「マジかよ!」であった。セル塩君のような「逆転勝訴」に胸躍らせてたのに・・・

 出口で検査官?のオヤジに当たった。「ディーラーに出したんだけど!?ダメェ?」
 オヤジは目もあわせず「ちょっと高いね」で終わり。本当かよ!『セル塩はあんたが●にしたやろ』と罵声を浴びせたかったが、今後のこともあるので、その台詞は体重をかけて、心に両手でフタをした(笑)。
 ちょっと時間を置いて、何もせずまた入ろうかと思ったが、オトナだし、自分のじゃないから「ちゃんとやっとくか」で、民間の車検場へ。
 ここも4回目(爆) やれやれである。

 戻って、順番待ちの時に考えた。『セル塩君たら、光軸が自分の体重でずれるのを考慮したのか?または、一番奥のブースに座る「オヤジ」への暗黙のアピールだったのか?』と。
 でも、『普通乗ったままで計測だろ。』と、前者は消えた。『でもまんざら考えられなくもないか?』、と降りて見ることにした。邪念にも『これが「通過」の暗黙の手段だったら面白いな。』なんて思いながら。ま、それはないと思うが。
 目に炎が点火し、光軸の再検査へ。とりあえず降りてみた私は、オヤジをチラチラ見ながら腕組んで立ってた。やはり"オヤジへのアピール"という幼稚な考えが気になっていたようだ(爆)。  
 右 「●」が点いた。左もだ。やった、合格だ!と目の炎は「ジュッ」と鎮火し、雨模様ではあったが、マーチ号の延命という名の、明るい未来への出口へ。

 オヤジも「おじさん」に変わり、ステッカーをもらい無事終了。

 自宅に戻ると「おお、安いな」と喜んでもらえた。

が、…

 そうなると、心残りが一つ…「NISSANの点検した野郎はどんな面だいっ!」と普段はまったくキレキャラではないのに、腹の奥底でやはり「トンガリ靴でモリを持った黒いタイツ姿」の彼が騒いでるようだが、『もう終わったことだよ。』とやさしくアドバイスしたオトナな私がいた。