御護摩

 先日、某労働協会の祈願行事の仕事の添乗として先輩の仕事を手伝った。
自分達は電車で先回りして、成田入り(カッコイイ響きだが、成田のお山のほうである…)そこで予め注文を受けた御護摩を受け取り、昼食場所で各企業の代表者の方々の分を並べて置いておくものだった。

 そこで見た物衝撃の事実・・・

 成田山の境内は高台に位置する。しかし、その地下は、御護摩を受け取る場所で、周りに御護摩の在庫置場、兼、お渡し場所。さらには、書換処?などという窓口までもある。これは後に触れるとして、驚いたのはその広さ。
 体育館と言うと大袈裟だが、小学校2年生くらいの体育の授業でやるくらいの、ドッジボールコート2面(爆)はとれんとばかりの空間だった。真ん中のスペースは会議室にありそうな折り畳みテーブルが整然と並べれ、そこで袋に詰めたり、数の確認なんかをするためのもの。
 両手一杯に袋をぶら下げ、上に出ると、鳥爺とリス婆がごろごろいる(笑)。参拝中だ。
 「まぁ、御護摩一杯だわ。縁起いいわねぇ」などとすれ違いざまに聞こえたり・・・「いいから前見て歩け」と言いたかったが、私は大人である。口にはしない。(当たり前か!)

 しかし、本当に縁起いいのか?縁起もそうだが、それ以上にご利益あるのか?とこの仕事をして思ってしまった。
 それは、板っ切れになにやら達筆な書体でウジャウジャ書いてあり、のし紙?に企業名や個人名で「安全祈願」「家内安全」などと書かれている。そして水引で巻かれてる。デザイン的には効き目は十分ありそう。
 しかし、30Cmくらいのもので5千円、その130%大くらいで1万円、150%になると3万円もする。しかもどれもやたら軽い・・・
 マジかよ・・・と思いつつ、注文書と書かれたものの誤字脱字のチェックをし、それぞれのランクに見合ったオプションを並べていく。お酒やらお供物、お札といったものだ。
先輩が「やっぱ出たよ・・・ちくしょう」と脱力する。そう、企業名のカタカナ部分の脱字であった。小さい「ェ」が抜けている。
 「悪いけど、さっきのところにいってこれ見せて、書き直してもらってきて」と言われ、言われるままにさっきの地下秘密基地(爆)へ。
 そこで初めて役割に気づく「御護摩書換処」の・・・そこには「成田山奉仕団」(聞こえは怖い)の刺繍を施したジャンパーに身を包んだ、ケントデリカット張りの度数を持った眼鏡をかけた老人が座ってた。
 注文用紙と御護摩を差し出すと、食い入るようにみてたが、分らなかったらしく、1分近く待たされてしまった・・・説明して納得。汗
 そして、紙だけ外して書き直すのかと思いきや、「『工場』取ってきて」と後にいたおばちゃんに指令。おばちゃん2度目で解釈。私チンプンカンプン(爆)どうやら工場安全の略語と取れる。
 すると、サラの御護摩登場!何とその老人、その場で書き直し。「えっ?」と思ったが、窓越しに覗くと仕切板の向こうで同じルックスのスタッフが蛍光灯の下で何やら書いている。背中の角度も皆ほぼ同じ(笑)。彼らの目の前には、仕切られたボックスに御護摩が…大量生産の図であった。見るんじゃなかった。
 おいおい、5千・1万も出して、ご利益にあやかってるのに、間違った上、交換かよ!それどうすんだい!ってな感じだった。
 しかもよく見ると、板のほうは、明らかにプリント。あややEPSONの方が綺麗だぞ、てなレベル。
 書き終えて、「はいどうぞ」と。しかし、その老人はなかなか綺麗な字を書いてたので、合格とし、お礼を言って戻った。
 戻って、先輩に「なんかご利益も減ったくれもないっすね」と聞くと、「いい商売してるよ。神の名を使ってよ。だって、この板も見て分る通りこんなんじゃん?更に、字書いてるのってボランティアの連中だぜ」と。
 確かに板も、小田原の「鈴廣」の蒲鉾板の方が、こだわりを感じる。
 こりゃ儲かってしょうがないだろ?って感じかな。だって、地下要塞作っちゃうんですから。
 
 自分もくじ引きとかで、本気で欲しいものがある時など「神様お願い!」みたいに思うときがあるが、「金あげるから」って言えば「ピクッ」って振り向きそうな気がしてならない。
 なんか八百長がまかり通った世界だなと思ってしまった。
           
          でも、そんなもんか?世の中(爆)
寝よっと。